はずれる予想にゃ訳がある  980701  No.11
 
最終更新 2007年11月21日
 
記者 「ワールドカップ残念でしたねえ。天野さんの予想もすっかりはずれちゃったし。」
天野 「まあ日本の決定力不足はここ何年も誰もが指摘していた部分だけど、予想以上に酷かったってことかな。アルゼンチン戦とクロアチア戦は正直情けなくなっちゃったよ。まともに枠にいったシュートといえば試合を通じて1本か2本だろ。シュート打って10本に1本も枠にいかないんだもん。これじゃ勝てる訳がない。それでもジャマイカにはと思っていた期待も見事に裏切られたしね。日本に「世界一」とまでは言わないから、せめて「アジア一」くらいの強力なストライカーがいればとは誰もが思っただろうな。
アジア予選の時からずっと引っかかってたんだけど、日本の攻撃は形が決まっていてマニュアル通りに進まないと決まらないっていうイメージがあるんだよな。攻撃途中でちょっとパスミスやイレギュラーがあったりするともう対処出来なくなっちゃうような。驚きがないっていうかさあ。だからちょっと相手に研究されちゃえばもう息詰まっちゃうって感じ。
もっとも前回最初に言ったように、そもそも日本は実力的にどうこう言えるほどのもんじゃない。W杯初出場の今回は日本にとって世界への顔見せくらいなもんで本番は4年後。いろんな人がいろんな事を言うだろうけど(俺もそのひとりか?)、要は今回の経験を4年後にどうつなげるかであって、ほんとの成果はその時に出る。予想は元々希望的観測だったから結果はともかく本心から言えば、特にアルゼンチン、クロアチアの2戦は世界の強豪相手に最小失点差でよくやったって言ってもいいでしょう。
それに人の予想ってえのはだいたい外れるものと相場が決まってんの。それもなぜか専門家の予想ほど外れるから面白い。別に俺がサッカーの専門家って訳じゃねえけどな。」
記者 「そんなもんですかねえ?。」
天野 「そんなもんなんだよ。
サッカーとは関係ねえけど俺がガキの頃、石油の残り採掘量は30年くらいで、早ければ今世紀(20世紀)中には底を尽きかねない。そんなことが真剣に論じられたりしていて、21世紀のエネルギーとして核融合の研究なんかが本格的に始まったのもちょうどその頃。
ところが世紀末になった今ではなぜか寿命が延びて、あと40〜50年は何とかもつらしい。たぶん40〜50年後には残り70〜80年なんてことになってんじゃないの。」
記者 「確かにねえ」
天野 「おそらく石油に関して言えば、あと10年か20年して掘削技術が更に進歩しコスト的にもクリアになれば、今後は南極やその周辺部、グリーンランド、カナダ、シベリアなどの極地方や、東南アジア、カリブ海周辺の大陸棚などで多くの油田が開発されていくと思うね。エネルギー自身の消費効率も地球温暖化の観点からこれからもどんどん改善されていくだろう。石炭の液化や天然ガス、更に進歩すれば大気中の二酸化炭素や石灰岩などから合成石油なんてのが、触媒を使って効率よく出来る技術が開発されるかもしれない。おまけに世界各地の大陸棚などでは「メタンハイドレート」なんて言う石油の親戚みたいな資源もあって、現在盛んに言われてるような(化石)資源の枯渇なんて、俺に言わせればまったく心配ないね。」
記者 「なるほどねえ、かなり楽観的なんですねえ。」
天野 「だからと言ってもちろんエネルギーを無駄使いしてもいいなんて言ってる訳じゃないよ。
やっぱり可能な限りの知識や技術を結集して、現在毎年のように新たに問題提起されている個々の問題には真剣に取り組まなければならない。特に自然環境は広い意味でも狭い意味でも、一度破壊が始まると加速度的に進むことをいつも心しておかなければならないし、その再生に多くの時間と労力がかかることは言うまでもない。人の信頼と同じで、壊すのは簡単だけど元に戻すのは大変だってこと。
ただ、人間社会ではエネルギー問題も環境問題も食糧問題も、需要があるところには必ず新たなビジネスが発生する。その意味での未来は現在マスコミなどで言われてるほど決して暗いばかりとは思えない。俺なんかもう生きてる間にどんな進歩が見られるのか楽しみでしょうがないけどねえ。
子供の頃は60歳くらいまで生きれば十分と思ってたけど、今ではそういう部分の興味から大袈裟に言うと人類の行く末を確かめたくて、少しでも長生きしたいと思うように変わったね。逆にボケちゃったりしてそういうことが理解できなくなったら明日死んでもいいけど。」
記者 「さすが天野さんらしい考えですねえ。ところで詳しいはずの専門家が予想を外すってのはどういうことですか。」
天野 「(マスコミがニュースとして取り上げる)専門家の予想はほとんど(って言うかすべて)「このまま行くと・・・・」ってえのが前提になってるから。好意的に言えば現在の状況が続くことによる未来の姿に警鐘を与えるべく、そういう予測を発表するということなんでしょう。伝えるマスコミも当たり前のことより、より衝撃的な、いわゆるニュースになるものを好む傾向があるのは説明するまでもない。
ただ、幸か不幸か世の中「このまま行く」ってことはほとんどないんだよな。
さっきの繰り返しになるけど、発表されて公になった時点ですでに「市場(需要)」が発生した訳で、その問題が重大であればあるほど未来の結果は予想と異なると思っていい。つまりその分野の大きなビジネスチャンスが生まれることにより、前提とした条件が大きく変化したり著しい技術的進歩がその分野で発生するってこと。
そう言う意味じゃマスコミの、時には常軌を逸したような馬鹿騒ぎも捨てたもんじゃない。」
記者 「なるほど」
天野 「アメリカのジェミニ計画やアポロ計画が進んでいた当時、スタンリー・キューブリックが「2001年宇宙の旅(原作はC.T.クラーク)」で惑星間飛行を予想して映像化して見せたよな。けっこう難解な長編映画で、1回くらい見たんじゃ何が言いたいのかよくわからないけど、SFの分野では最高傑作との評価も高い。
確かに1957年に初めて旧ソ連がスプートニクを打ち上げてから、わずか10年ちょっとの69年には月に人間が立っちゃった訳だから、30年もすれば火星や木星くらい行っちゃうだろうと思いたくもなる。ところがすでに21世紀を迎え2001年も彼方に過ぎようとしている今の現実は、当時の予想より遙かに遅れている。これは文字通り天文学的費用やその後の世界情勢に大きく左右された上に、ほんとはほとんど軍事目的が主で一般的なビジネスチャンスが少なかったってことも大きい。当然冷戦の真っ直中では軍事技術の民間転用も難しかったし、その成果が経済的に見合うものではなかったというのが大きな原因だと思うね。今後もますます経済的要因が足を引っ張るだろうことは明らかで、こと宇宙開発に関しては過去の予想との乖離がますます大きくなることだろう。つまり航空・宇宙って言ったって当時その分野で一般には特に差し迫った問題があった訳じゃなし、ほとんど俺たちの生活には関係ない分野の研究だったってことだな。
現在の、特に環境関連のいろんな問題はまったく逆で、生活に密着したところに実に多くが集中している。だからこの分野の未来は現在の予想とはまったく異なり、宇宙開発とは逆の、極めて進歩した明るいものになると思いたいね。」
記者 「やっぱり楽観的だ。」
天野 「ついでだから最後に予言をひとつしておこう。来年の今頃はノストラダムスの大ブームが起きてるはず。今のうちに見越して何か考えといて損はないぞ。」
記者 「了解」
 
2006年5月7日追記
ノストラダムスの大予言、実は2007年だったって話しがチラホラ。一方では2012年の12月12日だっけ?、にも何かあるらしい。いやー商魂たくましい。話の種は尽きないねー! 
 
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