春 の 野 花

 

春、小さな野草は夏の大型植物に地上の日光を奪われる前、芽吹いてまもなく次々と花を咲かせる。

田畑自身やそのあぜ道を青や赤紫に覆い尽くす様は、遠目で見るとまるで絨毯を敷いたように美しい。

春は夏以上に賑わいを見せる季節なのだ。

 

レンゲソウレンゲソウ(2000年4/30) 

お馴染みレンゲソウ。
水田の緑肥用としても、蜂蜜用の花としても昔から有名。
西上州でも昔ほど多くは無くなったが、それでもやや山間に入った水田などで、一面を覆い尽くす様は春の風物詩。
甘楽町には観光用?の水田もある。
 

キランソウキランソウ(2000年4/30) 

別名:ジゴクノカマノフタ、イシャコロシなど。
地面に張り付いて横に広がって咲く姿から、地獄に蓋、ということらしい。
シソ科の植物共通の特徴として独特な臭いと、薬草としても有名なところから、イシャコロシはそちらからの呼び名だろう。
各地で普通に見られるらしいが、ちょっと春遅くなると他の植物に隠れて目立たない。
花色は写真のように濃い青紫。
 

菜の花菜の花(99年4/13)

山野草とは言えないが、元々畑に作つけられていたものが野生化し、付近一帯を黄に染め上げることもある。
春を告げる日本の代表花と言えば、桜や梅と共にこの菜の花も上げない訳にはいかない。
 

オオイヌノフグリオオイヌノフグリ(99年3/13)

どこにでも見られる代表種その1。
さすが帰化植物は根性がすわっとる。
次のホトケノザと共に、真冬でも日当たりのいい所ではかなり花を咲かしているから立派。
やはりこれくらいでなければ日本制覇はおぼつかないのだろう。
盛期(3月中旬〜下旬)には群生地全体が饅頭のようにこんもり盛り上がり、遠目には青いベレー帽のよう。
名前は花後の実が雄犬の睾丸(フグリ)に似ているところから。
 

ホトケノザホトケノザ(99年3/13)

どこにでも見られる代表種その2。
畑などの法面一面を赤紫に染め上げる大群生はなかなかに美しく、その花もよく見ればけっこう可愛らしい。
暖冬の今年(2000年)はすでに2月半ばには満開状態。
とは言え、ほっておくとつる性植物のように地を這いながらぐんぐん延び、時には1m近くにもなる雑草の代表格でもある。
名前は茎を取り巻くように対生する葉を仏の座る蓮の花にたとえたもの。
尚、春の七草ホトケノザはこの花ではなく、コオニタビラコのことである。
 

カキドウシカキドウシ(99年3/26)

どこにでも見られる代表種その3。
但し、前2者に比べると西上州ではちょっと地域限定的。
平地よりもやや山間に入った畑に多い。
ホトケノザと同様花は愛らしいが、こちらも嫌われる雑草の代表格。
花の時期はご覧のように小さいが、その後は垣根も突き抜ける勢いで1m以上にもぐんぐん延び、その様が名前の「垣通し」となった。
シソ科ということで葉や茎には良い芳香(図鑑によっては嫌な臭いとの表現も)があり、薬草としても知られる。
 

ヒメオドリコソウヒメオドリコソウ(99年4/9)

どこにでも見られる代表種その4。
但し、前3者よりやや遅れて咲くため縄張り争いはあまり見られない。
薄紅色の葉を段重ねにし、ピンクの小さな花が覗く様はまさに「ヒメ」であり可愛い。
畑の法面をピンクに染め群生する姿はこちらも絨毯のよう。
ヨーロッパ原産の帰化植物だが、オオイヌノフグリなどと同様すっかり日本の春を代表する花となった。
 

オドリコソウオドリコソウ(参考)

こちら本家のオドリコソウ。
ヒメオドリコソウに比べかなり大きな花だが、ご覧のように葉陰で茎から離れず咲くため目立たないことも多い。
植物体自身は15〜20cmくらいのヒメオドリコソウに比べ、こちらは膝丈〜1mほどとかなり大きい。
花色は西日本でピンク、東日本では白系が多いらしく、名は笠をかぶって踊る踊り子のような姿からとったもの。
最近は数が減っているとの話もあり、大切に扱いたい。
尚、写真は西上州のものではなく、長野県某所で撮ったものを参考として上げた。
 

トウダイグサトウダイグサ(99年4/9)

こちら西上州では極めて?珍しい部類。
知る限りでは、ある場所でのみ特異的に咲いていた。
畑の所有者の話では、飼料か何かに混じっていた種が根を下ろしたらしく、ご本人も初めて見て珍しいと思い残しておいたとのこと。
西上州に野生化仕始めた最初の株かもしれない。
花はご覧の黄緑色のため若葉のように見える。
名は花の様子が明かりを灯す燭台のように見えるところからついた。

 

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