御荷鉾スーパー林道より白髪岩
 
最終更新 2012年10月25日
原三角測点について
 
アカヤシオ咲く山頂
アカヤシオ咲く山頂
 

御荷鉾スーパー林道より下仁田町最高峰「白髪岩」を目指す。

早ければ往復1時間ちょっとの短時間ルートだが、笹を分けて進むルート。

紹介当初に比べテープ類や道標など格段に増え、笹丈も比較的低く最近は分かりやすくなった。

それでも、往復となるルート中に間違いやすい分岐もあり、思わぬことになりかねないので念のため。

 

 

グレード(個人評価)  H  1    3  4  5  U  /  判断基準
ルート 林道登山口→分岐→1499m峰→白髪岩(往復)
総歩行時間(休憩含まず) 往復1〜1.5時間程度。但し踏跡を見失うとその限りでない。
登山適期 4月中旬〜5月下旬 及び 10月中旬〜12月上旬
例年12月中旬〜4月中旬までは林道冬季閉鎖
地形図 神が原
駐車場所 登山口に4台程度可。御荷鉾スーパー林道情報は西上州の山indexページ参照
その他 熊目撃注意!!
ルート案内画像のほとんどはガイド日時である冬季のものです。葉の茂る夏季は木々や笹原の状態が大きく異なり、多くの場所で見通しも利きづらいと思いますのでご注意下さい。
下写真は6月初旬の登山口駐車スペース写真です。下の登山口写真と見比べて下さい。これで真夏ともなれば・・・・^^;
ってことで、登るなら上記登山適期内をお奨めします。

6月初旬の登山口

 

ガ イ ド (2009年1月1日現在)
御荷鉾スーパー林道より白髪岩 駐車スペース
左) 御荷鉾スーパー林道より白髪岩
赤久縄山を過ぎ1481m峰南面を巻いた後、御荷鉾スーパー林道の鮎川を挟んだ対岸に見える。
右) 登山口
御荷鉾スーパー林道が鮎川源流を回り、直後の切り通し右手駐車スペースの奥に登山口がある。夏季は夏草や灌木が繁茂するが、それでも車数台の駐車は可能。
 
登山口 下仁田側を巻く縦走路
左) 急登から始まる登山道
登山口から急斜面を踏跡伝いに登る。急登だがほんの1分程度。
右) 細い縦走路
稜線手前の下仁田側ですぐ細い縦走路に出る。以降白髪岩まで、いくつかあるコブへの登路はすべて下仁田側を巻くようになる。ここから縦走路を左(北)に向かう。この縦走路の細さに不安が過ぎり、且つ単独ならば諦めた方が賢明かな?
 
帰路間違えやすい分岐 再度下仁田側を巻く
左) 帰路(復路)間違えやすい分岐
先の縦走路から続く小さなコブを下った鞍部に非常に間違えやすい分岐がある。写真は帰路で見るように振り返った状態だが、右手立木の向こう側に明瞭な下り道があり間違って入らないこと。
ちなみにこの立木には熊の爪痕のような傷があるが、ちょっと人工っぽい??
右) 下仁田側を巻く
丸いコブへ緩やかに下仁田側を巻いて登る。
 
間違えやすい分岐 分岐の目印となる白樺
左) 往路間違えやすい分岐
丸いコブの尾根を緩やかに下り、この分岐で直角に右折する。以前は三叉路でなに気に歩いてると西に向かう尾根に誘導されてしまうこともあったが、現在はカーブを描いて右折するため問題ないだろう。右写真の白樺がよい目印になる。
右) 目印の白樺
分岐の良い目印となる白樺の大木。左写真でも黒い立木の後に見えている。写真は冬期だが夏季はやや見づらいかも知れない。ルート中この付近の笹丈が一番高いがそれでも冬季で腰〜胸丈程度。夏季はプラス20〜30cmくらいか?
 
1499m峰へ下仁田側を巻く 1499m峰直下の縦走路
左) 1499m峰への道
1499m峰への登りは鞍部から直線的に下仁田側を巻いて登る。
右) 1499m峰
尾根に戻ると笹丈が増し、正面向こうに1499m峰が見える。
 
1499m峰東尾根の間違えやすい分岐 山頂西鞍部より下仁田側を巻く
左) 白髪岩への分岐
1499m峰から右に曲がり緩く下るとすぐ、やや分かりにくい分岐がある。最近掲げられた「迂回ルート」「直登ルート」との道標があるので、迂回ルート側へ左折して下っていく。ここでの両ルートは白髪岩西の鞍部で同じ場所に出合うので、直進する意味はなく本来の縦走路も左に下るのが正しい。葉が落ちていれば写真のように正面に白髪岩が見えている。
右) 白髪岩への巻き道
白髪岩西の鞍部で先の両ルートは出合うと同時に再度別れ、左が写真の縦走路である迂回ルート。右は岩尾根の稜線を登る直登ルートとなり、ここにも同様の道標がある。直登ルートはここで言う迂回ルート(縦走路)を筆者が紹介後他者により拓かれたものであるが、筆者個人的にはあまり勧められるルートではない。⇒理由は後述
 
影の向きで分かるだろうが、ここまでのルート写真はいずれも帰路撮影していますので念のため!
 
山頂北の巻き道 岩庭 薄笹の登路
左) 細い巻き道
縦走路(迂回ルート)はすぐ馬酔木の林をくぐり、左傾斜のやや滑りやすそうな細い道となって白髪岩を北側へ回り込む。
中) 岩庭
ほどなく大岩が多数転がる中を縫う道となり、筆者が勝手に「岩庭」と名付けた場所に出る。右手上部には白髪岩山頂がすぐそこ。
右) 薄笹の登路
縦走路は岩庭の中で一旦北を向き、すぐ右に曲がって左傾斜の斜面を絡んでいく。っが、ちょっと分かりにくい。それでも付近はくるぶし丈くらいの薄い矮性笹で見通し良く、山頂も右手に見えているので登りやすそうな踏跡から高みを目指せば良い。
 
白髪岩山頂
白髪岩山頂
白髪岩山頂は東西に長く、東峰山頂には写真の「原三角測点」がある。詳しくは下記「原三角測点について」参照。
長い頂稜は東峰に上記の標柱と更に端には図根点があるものの、こちらは現在樹林で冬季以外展望は得られない。西峰は馬酔木林であるがわずかに下ると岩稜となり、絶好の展望が得られる。
 
 
初日の出1 初日の出2 初日の出3
2009年初日の出
2009年元日は6:49に初日の出を迎えた。左の丸い山影は赤久縄山で、思惑通りの位置から上がってきた。木の間越しながらピーカンという好天に素晴らしい初日の出を見ることが・・・・ \(^_^)/\(^_^)/\(^_^)/
 
日の出前の原三角測点 日の出後の原三角測点
左) 日の出前の原三角測点
早朝6:20頃到着した時の原三角測点。付近はまだほとんど真っ暗だが、すでに東の空は朱に染まりはじめていた。
右) 日の出後の原三角測点
日の出から15分ほど過ぎた原三角測点。気温は実測−10℃ほどで下仁田側からの風も強く、それを想定したっぷり防寒着を持ってきて大正解 (^_^)v
 
朝日をあびる原三角測点
朝日をあびる原三角測点
初日の出後の朝日をあびる原三角測点の標柱。バックは西峰。
筆者が初めて紹介した時の下写真(原三角測点について)と比べ付近は格段に踏跡が目立ち、まさしくちょっとした展望台っぽい感じ。それでも標柱自身には大きな損傷なく、心配していた保存状態も良好で安心した。今後も歴史遺産の一つとして大事にしていきましょう。みなさんよろしくお願い致しますm(_ _)m
 
日の出直前の富士山 日の出直後の富士山クローズアップ
左) 日の出直前の富士山
奥秩父の稜線越しに見える日の出直前の富士山。一番手前の山影は左に上武県境の赤岩岳、右に大ナゲシ。奥秩父の鞍部はたぶん雁坂峠と思われる。
右) 日の出直後の富士山
こちらは日の出直後のクローズアップ写真。見やすいようにコントラストを上げています。
富士山頂を見てやや右に白山岳三角点、その右後方に薄く最高点剣が峯の三角点が共に突起となって見えている。後で機会があったら赤久縄山からもどう見えるのか確認してみたい。
 
以下はいずれも西峰岩稜上からの展望です。展望可能範囲は南東から時計回りに北まで約240度強程度。赤久縄山は見えません。
 
奥秩父の山々
奥秩父の山々
鮎川越しの赤久縄尾根と、その後に両神山と奥秩父の山々。この写真では小さすぎて分からないが、位置的には中央奥に富士山が見えている。上の富士山の写真と見比べ、赤岩岳や大ナゲシの後方と言うことで分かるだろう。西上州では白髪岩から西にこれ以上高い山はなく(厳密に言えば鮎川源流で杖植峠付近の1521m峰があるが)、奥秩父の山岳に隠れて富士山の見えないことが分かるだろう。
尚、上武県境では1800〜1900m級の山岳もあるが、位置的に奥秩父に近づくためやはり富士山を見ることは出来ない。御座山からは金峰山や朝日岳越しに見えるのかなー?・・・・昔登ったけど見た記憶はないが??
 
南アルプス
南アルプス
南アルプス北部の山が少し見える。北岳付近かと思われる。
 
南アルプス〜八ヶ岳
南アルプス・御座山・八ヶ岳
左より上の順で見えている。八ヶ岳から蓼科山にかけては雲もなく、この日いい初日の出が見られたことだろう。
 
浅間山
浅間山
浅間山も西上州の山越しにバッチリ。軽井沢付近は朝もやに煙ってるようだ。この冬は例年以上に浅間山の噴煙も多いように感じる。その噴煙も軽井沢方面に真横(写真でこちら側)に流れているようで、風の強さが伺える。 

 

原三角測点について
原三角測点
明治15年の原三角測点標柱。左奥が東峰、右奥の山は木の間越しの赤久縄山。
 
筆者が2001年5月、上写真と共に紹介した「原三角測点」だったが、後に国土地理院サイトより(公にしてしまったという意味で)国内三例目の発見らしいことを知る。それでも筆者自身は「ふ〜ん、そうなんだー」程度にしか思っていなかった。ところが、何だか知らない所で意外な大ニュースとなっていることを後に教えられる。
(参照⇒読売新聞2001年7月29日号。岳人2001年9月号、同11月号など)
なんでも明治初期という設置当時の状態をそのまま保存している可能性が高く、だとすれば現存する(発見された中では)唯一の例かもしれないとのこと。筆者はこの種の標柱・石柱類を見つけると判別可能な限りその刻印を控えるようにしており、今回はこの「原三角測点」という標柱名に思いもよらぬインパクトがあったようだ。

この三角点標柱は大変立派な物で、高さ50p程度。60p角くらいの台座の上に頂点を切った四角錐の標柱が置かれている。4面には南西面を除く各面に表示があり、内容は下記の通り。昔から高い山とは認識されていたようだが、なぜ現在の地図から三角点はおろか標高点すら消えてしまったのか詳しい経緯は分からない。

山名は当初高度計の表示から「1520m無名峰」などと紹介していたが、標柱設置当時の資料や明治22年の1/20万地図等により「白髪岩(しらがいわ1512m)」というのが正しいようである。更に下仁田町への照会により所在は、「群馬県甘楽郡下仁田町大字青倉字白髪岩」と判明する。どうやら原三角測点標柱名はこの付近を示す地名より採られた可能性が高いようである。
以上、調査をいただきました埼玉の「T」さん「I」さん、情報ありがとうございました。m(_ _)m

当初より別項でも話しているように筆者の初回登山時(1999年10月)、山頂付近の岩場で展望を楽しみながら休んでいる時、「ジャー・ジャー」という奇妙な物音に何かと思いその方向へ目を向けた。すると、5〜6mほど離れた岩穴からテンがこちらを向いて威嚇しておりびっくり。どうやら西峰西尾根となる岩稜はこのような岩穴を住処とする小動物の繁殖地?、または冬ごもりのねぐらとなっているらしい。そのため後に拓かれた岩場伝いの直登ルートはなるべく遠慮願いたいと筆者は思っており、上部の岩上で展望を楽しむくらいとしてはいかがだろうか?
更に3回目の登山時は晩秋と言うこともあってか、親子鹿や熊の目撃までした事実があることを伝えておこう。幸か不幸か筆者の紹介が思わぬ結果を招きこのような奥地でありながら以降一気に入山者が増えたと思われ、逆に動物の目撃情報をあまり聞かなくなったのは残念なことと受け止めている。初めて見たこのような標柱が何なのかよく分からないまま、矛盾を感じつつも紹介してしまった筆者としては自ら反省すると共に原三角測点を訪れる方々に、標柱に対して共々付近の動植物に対してくれぐれも慎重な行動を切に望みたい。
 
 
2009年1月5日追記
標柱天面と方位
標柱天面と方位
標柱の向きは上写真で左上の頂角がほぼ北となり、時計の方位センサー表示では写真の上面が時計回りに磁北より約60度ずれていることを表している。
これにより標柱各面の刻印は以前の告知から下記のように訂正する。
写真左側面(北西)⇒内務省地理局
写真上側面(北東)⇒原三角測点
写真右側面(南東)⇒明治十五年十月
写真下側面⇒刻印なし
 
北面 東面
南面 西面
上記方位により各方向を向いて撮影したのが上写真の4枚。
左上/北面
樹林のバックに木の間越しで見えにくいが稲含山が位置している。
右上/東面
後方左に図根点のある東峰があり、右手奥に赤久縄山が見える。
左下/南面
山頂標識など掛かる傍らの大きな立木側となる。
右下/西面
後方左奥に馬酔木林の西峰が見えている。
 
 
2012年10月下旬現在
白髪岩山頂
双子山展望
 
 
2003年7月11日追記 / 2009年1月5日更新
白髪岩から赤久縄山に移動した一等三角点設置の経緯だが、下記のような事実があることを記しておく。どう解釈するかは皆さんの想像に任せよう。
 1.赤久縄山は埼玉県中北部から意外にも御荷鉾山の陰となって見えにくいが、白髪岩は比較的見えやすい。
 2.同様に下仁田町付近のかなり広い範囲で、白髪岩稜線が陰となり赤久縄山は見えない。
 3.白髪岩からは赤久縄山が陰となって東京本面が見えにくい。
 4.付近の最高峰は赤久縄山である。
 5.どちらも付近の一等三角点がある山岳より展望可能である。
 6.白髪岩はこの山域で富士山が見える最西端である。

尚、山頂付近の岩場を指して「これぞ白髪岩だ!!」と考えるのが普通だろうが、この岩場は下仁田側からも藤岡側からも下界からは見えず疑問が残る。まともに見えるのは鮎川対岸の1481m峰から鮎川源流付近のわずかな個所だけで、御荷鉾スーパー林道沿いの1km程度の区間のみ。したがって、山頂付近の岩場を指して白髪岩と命名するには無理があるように思える。
実際、古い地図や文献では1499m峰北西の岩頭群や、稲含山南西の石灰岩質の崖を指して白髪岩と紹介しているものもある。それらの状況を考え合わせると、この地名は下仁田町青倉川上流各所にある白い石灰岩質を指していると思った方が自然なように思える。

 
 
2003年5月30日追記
2003年版エアリアマップNo.21「西上州/妙義山・荒船山」にはとうとうその位置が明記されるに至り、公にしてしまったという意味で筆者としてはホントに良かったのかなーとちょっと複雑な気持ち。この2年の間に紹介時からすると踏跡もかなり太くなり、やがてあっという間にゴミが増え、そのうち標柱に悪戯するような人も・・・・
どうか杞憂であってほしいが・・・・
 
 
2001年10月28日追記

その後の様子が気になって10/27再度同ルートを歩いてみた。ルート自身は特に変化無いものの、積雪のため倒れていた笹が起きあがり春先よりずっと歩きやすい。山頂には春になかった「白髪」という標識も設置され(赤久縄尾根にある近くの1521m峰から移動されたものだろう)、ちょっと「らしく」なってきた。
但し、今回帰路の山頂付近で熊さんと遭遇。「バキバキ」という物音に目を向けると、70mほど離れた下斜面をずんぐりむっくりの巨体が逃げていくところだった。以降、腰の鈴を手に持って鳴らしながら、時々後ろを振り返りながら下山した・・・・^^;^^;。
同じく山頂付近で「キョーン」という声と共に、親子4匹のニホンシカとも遭遇。晩秋の西上州はなかなかにぎやかである。

さて件の原三角測点だが、何者かが標柱を動かした(持ち上げて台座の上で転がした)らしく、台座と標柱自身にもスリキズが付き、頂角の一部には当初なかった欠損もあった。幸い美観を損ねるゴミなどは無く安心したが、学術機関等の調査の場合以外で標柱等を持ち上げたり動かすことは厳に控えてもらいたい。

また今回、白髪岩から富士山が見えることを確認。もっとも見えると言っても、下界から見て平に見える山頂付近がわずかに顔をのぞかせているだけだが・・・・^^;。方向は八丁尾根に続く赤岩岳と大ナゲシの間で、奥秩父の山々の彼方に浮かんでいる。
西上州からはその奥秩父が壁となり富士山が見える山は従来赤久縄山以東の山に限られていた。しかし今回の確認でどうも白髪岩が最西端となるようだ。この場所に原三角測点が設置された理由の一つにはこんなこともあったのかもしれない。

白髪岩より富士山
白髪岩より富士山
奥秩父稜線鞍部の彼方に浮かぶ。
手前影の山稜で左が赤岩岳、右のコブが大ナゲシ、最低鞍部は赤岩峠となる。
 
 
白髪岩関連リンク

群馬県の富士塚を訪ねて  船水氏によるサイト。「群馬の山を歩く」ページ中「白髪岩」にリンク。
Mt.View from Highway  伊藤氏によるサイト。表題の他三角点のルーツにも興味?
三角点写真館  各地の三角点写真や変な三角点なども紹介。
 
全面更新 2009年 1月 5日
新規追加 2001年 5月 5日
 
 
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