蓄音機/機械式再生
 
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コラム / 蓄音機か?蓄音器か?  アナログレコード再生のインサイドフォース
SP盤とレコードの歴史
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アンプによる電気増幅が行われる前、オーディオの原点として機械的に増幅するのみで音を出す蓄音機の全盛期がありました。聴いたことがないとなかなか説明しづらいのですが、よく調整された蓄音機の音はその音量と共に大概の人をびっくりさせるに十分な資質を持っています。最近はアナログ再生の元祖とも言えるそんな蓄音機によるSP盤の機械式再生に先祖返り。

「蓄音機なんてオーディオかよ〜」なんて思ってるあなた、それは「井の中の蛙大海を知らず」と言うものですよ! 1950年代以前、当時録音のクラシック、ジャズ、ボーカル等SP盤を蓄音機で聴かずして(原点を知らずして)オーディオを語る事なかれ! 故きを温ねて新しきを知る・・・・なんてね(^_^)v

そりゃね、周波数特性が・・・ダイナミックレンジが・・・雑音が・・・おまけにワウが・・・なんて言いだしたら現代オーディオとは比較になりません。そもそもそう言うレベルの話しをしているのでもありません。ただ、一昔前のアナログプレーヤ以上に、って言うか比較にならないほど激しく、どこかちょっと弄ると大きく音が変わっちゃう世界はデジタルでは逆立ちしても味わえません。だって、電気使ってないんだから・・・・機械的設定なんて無限にいくらでも細かく・・・・^^;
これは、「いじくりマニア?!」には狂気への第一歩間違いなし!!
 

 
さて、ラッパ付き卓上蓄音機は「これぞ蓄音機!」という姿が一般に思い浮かべるイメージと一致し、画像検索でググっても圧倒的にそれらばかりではっきり言って笑っちゃいます。しかも上位でヒットするその多くが現代のリプロ物とあってはオイオイ!・・・・^^;^^; さすがに「蓄音器」でググるとその種のリプロは減りますが、ラッパ付きがほとんどを占めることは「蓄音機」の場合と同じ。

実際、その古物のイメージを反映するようにラッパ付きの音はイマイチで、残念ながら現代の鑑賞に堪える機種はほとんどありません。まさしく格好だけが虚像となり「お探し物はこういうのでしょ!」 っというインテリアというのが精一杯で、その音を聴いた誤ったイメージこそ蓄音機に対する認識不足の元凶です。まあリプロ品はコメントにも値しないとして、それでも当時のラッパ付き機で当時聴かれていた音を再現するという意義には大きなものがあるでしょう。

その音は主に薄い金属板によるホーン鳴りや継ぎ目のビリつき音らと共に、バッフルのない三次元空間にポツンと開いたラッパにより低音が不自然にカットされた癖の強い音になります。サウンドボックス(プレーヤで言うカートリッジ)からの不必要な雑音が盛大に直接聞こえてしまうのも大きなマイナス点。初期物だけにそのサウンドボックス自身音楽を鳴らすには設計的に古く、「中音ばかりの固い音」「雑音の中でやっと聞こえる程度の音が・・・・」などと表現する人はそんな音しか聴いたことがないのでしょう。
実際、現代のデジタルオーディオと比べてあーだこーだと、とんちんかんなこと言い出す人もいるしね。

後にそのラッパはホーンとして筐体内に内蔵されるようになり、格段に向上した音質・音量により蓄音機黄金時代を迎えることとなります。内蔵されることによる大きさや形状設計への足かせ(制限)が逆にホーン設計を大きく発展させ、ホーン鳴りのダンプや箱鳴りさえ積極的に利用することが可能となりました。それは初期のU字型をした単純な折り返しホーンから、エクスポネンシャル形状によるロングホーンやリエントラントホーン等折り曲げによる高級機にまで発展します。

更に上蓋を閉めることにより不必要な針雑音や位相の問題からも解放されるようになり、ビクター等では蓋を閉めて聴くよう推奨しています。いわゆるホワイトノイズのような針音から高音部の伸び等感じる方もいらっしゃるようですが、重い針圧とそれによるレコードの摩耗など考慮すると、元々SP盤に刻まれた音であるかは未使用盤でない限り怪しいように思われます。レコードの音溝が針を振動させドライバーでもあるサウンドボックスのダイヤフラムから放射された音以外、前述の箱鳴り等の二次利用を除けばレコードとは無関係の雑音に他ならないのではないでしょうか?
 

 
オーディオスピーカにフロア型、ブックシェルフ型などと呼び方があるように、蓄音機にもフロア型、卓上型、ポータブル型などと言う呼び方があります。これはスピーカと同じくあまり厳密な基準がある訳ではなく、単に大きさや設置方法を指すくらいのアバウトなもの。一応の違いを言えばだいたい下記のようになるでしょう。
フロア型 床置きの、多くは4本足付き筐体で、家具調の大きな蓄音機です。
ハイエンド機に相当し、価格も数10万から上は1000万以上なんてのも・・・・^^;
大きな筐体は大音量や低音再生能力に長け、装飾の豪華さを競ったような機種も多い。現代ではどちらかと言えば希少価値や、お金持ちの所有感を満足させる意味合いが強いでしょう。
昔はその大音量によりダンスホールなど業務用としても使用されたようです。有名なEMGなどの特大ラッパ機種も、種類としてはこちらに入れていいでしょう。
但し、フロア型の中にはレコード棚と一体化しただけのなんちゃってフロア型も多く、それらは見かけだけ大きくても蓄音機本体に関しては実質的に卓上型とかわりありません。むしろホーン開口部が床から離れ足付きでもあり、低音側の量感については床置きした卓上型より劣る場合が普通です。
卓上型 台上または床置きとして聴くタイプで、ポータブル型と共にもっとも普通に見られます。
機種や程度に大きく依存しますが、店売りで概ね数万円〜100万円程度まで。
一般に蓄音機として思い浮かべるラッパ付きは初期の製品で、やがて筐体内にホーンを内蔵した機種へと替わっていきます。更に上蓋も付くようになり上述の通り格段に進歩した卓上型は、1920年代後半から30年代に掛けて次々と名機を生み出し黄金期を築き上げます。
ポータブル型 トランク型で取っ手が付き、多くは数枚のレコードと共に持ち運び可能なタイプです。
こちらも機種や程度に大きく依存しますが、店売りで概ね数万円〜数10万円程度まで。
台上などに置き蓋を開けた状態で聴くのが一般的で、多くはその蓋もホーンの延長として利用しています。良く調整されたポータブル機は卓上型に賢とも劣らない立派な音を響かせ、姿・形からは想像できないその意外な大音量にもびっくりすることでしょう。
その他 ポータブル型より更に小さなポケッタブルタイプ、子供用のおもちゃ蓄音器などあります。前者はカチャカチャ組み立てて聴くのですが、パッと見ホントにおもちゃと間違えそう。しかし、メカ的なおもしろさもありマニアックな人気があります。
いずれも希少性が高く、価格は一般的なポータブル型以上となるものがほとんど。数10万単位となるものも稀ではありません。
音はサウンドボックスそのままやお愛想程度のホーンが付くもので、見た目程度と思っていいでしょう。
この項では円筒形ドラムによるエジソン式(シリンダー式/ロウ管式)蓄音機はソフトも限られ一般的でないため除きます。
また、蓄音機初期にあった縦振動レコードによる蓄音機も同様の理由で省くこととし、電気蓄音機(電蓄)も電気増幅があるため対象外としています。
 
下の画像をクリックして各詳細ページへお進み下さい。
 
卓上型
Victor/J1-71
Victor/J1-71
NIPPONOPHONE/EUFON 1号
NIPPONOPHONE/ユーホン1号
ANKER AMATI
ANKER AMATI
Columbia/No.115
Columbia/No.115
Victor/VV1-90改
Victor/VV1-90改
 
ポータブル型
Columbia/G-208
Columbia/G-208
Columbia/No.212
Columbia/No.212
HMV 101
HMV/Model 101
 
サウンドボックス
VICTOR ORTHOPHONIC
VICTOR ORTHOPHONIC
 
 
この項では現有機の中からレストア経過と共に順不同で紹介していきます。
あまり高級機というものはありませんので、その分手頃な価格で手に入るものばかりです。特にコロンビアのポータブル機は良く出回っていて、CP(コスト/パフォーマンス)の高いお奨め機種が多くあります。まず1台というならピッタリではないでしょうか。

尚、入手時の状態は様々でしたが、筆者の持つ蓄音機はいずれもジャンクから自身でレストアしたものです。可能な限りオリジナルを残しながらもネジ類など紛失部品は手に入る範囲で交換し、ゴム類など使用不能部品は市販の板ゴム等加工した自作部品でもあります。あくまでレストア品ですので、いわゆる店売りの商品とは細部で異なる個所もあります。
 
余談ですが、
最近某CMによる連呼のせいもあるのか「CP」をやたら「コスパ コスパ」と言うようになりました。以前からCPはその意味を含めてアルファベット読みの「シーピー」で世に通っていましたが、誰が仕掛けたのかいつの頃からなのかこの種の新表現には非常に違和感を覚えます。現在様々に溢れるアルファベットの3文字用語も困りものではあるけど、少なくても筆者が子供の頃からすでにあった読みを勝手に変えられては迷惑千万!・・・・っと思うのは筆者の歳のせい?
それを言うならおまえだって「蓄音器」を「蓄音機」と言ってるだろ! いえいえ、それには筆者なりの訳がある。⇒こちら
 
注記)

本項及び蓄音機関連項すべてにおいて、その名称や記述内容、画像・挿図には一般論の他、特にことわりなく筆者の個人的見解も含まれています。固有名詞・専門用語等もその意味を損なわない範囲で、現代語に置き換えてるところもあります(ホゾ穴=軸受け、トンボ=カンチレバー等々)。よって、蓄音機の常識や表現内容など、必ずしも一般的見解と一致するとは限りません。またレストア時の一部不足部品等では手作り部分を含みます。更に個人名、企業・店舗名等は多くが一般名とし、敬称、正式名等は略しておりますのでご了承下さい。
尚、本項すべてに置いて科学的正確性よりも読み物として分かりやすい説明に重きを置き、いわゆる数式等は明示していません。但し、明らかな間違いなど発見しましたら、お手数ですがその旨ご連絡いただけますとうれしく思います。
 
最終更新 2017年 2月28日
修正更新 2013年12月10日
新規追加 2008年 2月 8日
 
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